外貨mmfの今後の動き
簿価で一O億円の債権なら、五億円もの予想外の損失を出さなければならない。
もっと心配なのは、破綻懸念先の1ランク上の要管理先に区分されている債権だ。
銀行の引き当ては簿価の一0〜一五%程度とみられる。
この場合、簿価の八程度で外資系投資会社が買ってくれれば予想どおりなので痛みは小さい。
だが、買い手企業に聞いてみると、破綻懸念先にあるべき企業が要管理先に区分されている例もあるらしい。
銀行の自己査定の結果なので、独自に回収率に自信があるのだろう。
同じ程度の評価をする買い手企業がいないと、とんでもなく大きな予想外の損失が出る。
ある銀行が実施した不良債権の入札で、こんな事例もあったと聞いた。
破綻した温泉リゾトについて銀行側はすぐ売れると主張していたが、入札参加者はすべてゼロ査定を出した。
その後、銀行が自力で売ったのかどうかは知らないが、予想をはずすことはどの銀行にも今後ともありうる。
不良債権売買は、売り手と買い手の聞での値段をめぐるかけ引きの要素もある。
売り手は多少高めの数字を言い、買い手は低めの数字を主張するところから始まる交渉ゲムだ。
内閣改造後のK政権は、一カ月後の十月末に『総合デフレ対策』を打ち出した。
そのうちの金融関連の方策としてまとめられたのが『金融再生プログラム』だ。
これらをまとめて、新聞は「査定強化・産業再生一体で」(十月三十一日付N新聞)と報じていた。
その一ヶ月間でかなりのことが議論された模様だ。
全国サ協会も十月の中旬に監督官庁の法務省から「再生関連で何かできないか」と聞かれ、意見をまとめた。
後にN新聞が多数の関係者に取材して書いた特集記事『検証ルポ・T旋風』では、産業再生機構の案は、いわゆるT案をめぐる事態の腰着に財務省が「助け舟」を出したものだったことを明らかにしている。
「『再生できる企業を再生させる仕組みを作らなあかん』金融再生策の中間報告公表が撤回された十月二十二日夕方。
財務相のSは経済関係の閣僚が顔を合わせた首相官邸の一室で経済財政・金融担当相のTに向かって声を張り上げた」「S発言をゴサインにM(財務省事務次官H筆者注)らは八月から省内でひそかに温めてきた腹案を持ち出す。
金融庁と共管する預金保険機構の傘下に回収機構と産業再生のための新機構をぶら下げる」この産業再生機構という新しい主役の登場は、「いわゆるT案への反対派」に変身して後にN新聞が多数の関係者に取材して書いた特集記事『検証ルポ・T旋風』では、産業再生機構の案は、いわゆるT案をめぐる事態の腰着に財務省が「助け舟」を出したものだったことを明らかにしている。
企業再生ファンドなど企業再建に関わっている人々からは、新機構に期待する声が多い。
これまでは、一つの企業を対象に債権を持つ金融機関が多数いることによって、債権買い取りゃ企業買収、営業譲渡など、再建への仕組み作りの交渉が停滞してきたからだ。
債権者としてもそれぞれが回収できると見込んでいる金額とその方法が違うので、一つの銀行が再建案に同意しても、他の銀行そうすると、再建案をまとめるのに時間も手間もかかりすぎる弊害があった。
産業再生機構はメインパンク以外の債権を買い集める作業をするので、ファンドなどは機構とメインパンクだけを対象に交渉にのぞめばいいことになる。
それだけ仕事ははかどることが見込まれるのだ。
この債権買い集め作業に関しては、企業再生ビジネスに参入している企業から新機構への期待は高い。
また、企業再生を本業としない企業が、再建が必要な企業へのスポンサになるときにも、障害を減らす効果があるだろう。
買い取り価格については、新機構が自主独立性を保てるか、一部の金融機関・企業に恩恵を与えないかという点で懸念が残る。
N新聞朝刊の一面トップ記事は、新機構の政府原案が「実質簿価で債権買い取り」としていることを書いた。
政府原案ということは、経済産業省・財務省・国土交通省・金融庁という関係官庁が作ったものだ。
実質簿価派の人々はしっかり生き残っていた。
しかも、官僚機構の中の多数派でもあるようだ。
その後、実質簿価の言葉はまた表面から消えることになる。
十二月十九日、K総理を本部長とする産業再生・雇用対策本部は、『企業・産業再生に関する基本指針』を決めた。
指針には、債権を買い取る値段については「企業の再生を念頭においた適正な時価」と書き込まれた。
二OO三年一月に公表された株式会社産業再生機構法案でも「再生計画を勘案した適正な時価」とほぼ同じ言葉が使われた。
言葉の上では実質簿価ではない。
だが、時価はあくまで、売り手と買い手の取引交渉が成立した値段であるだけのことであって、どんな値段に落ち着くかはまだ分からない。
「適正な」と付いているからといって、適正な値段算定の公式があるわけでもなんでもない。
つまり、「適正な時価」という言葉は、何も特別なことを言っていないはずだが新機構の仕事の流れを単純化すると「債権を買う」「企業の再建を助ける」「債権を売る」となる。
それゆえ、産業再生機構が買う値段は、RCCと同じ意味で、重要だ。
《売る値段》より《買う値段》が高いと赤字になる。
赤ある程度はできるだろうが、超えると、国民へつけを回すことになりかねない。
赤字を出さないようにするにはどうするか。
銀行から買い叩いていると言われる外資系ファンドと同じような行動を取ることに尽きる。
「安く買う」「企業の再建を成功させる」「高く売る」の三要素を実行するしかない。
がこれで直ちに赤字を出さないという意味にはならないが、少なくとも実質簿価派の影響下にないことを世間に示すことにはなる。
はたして、そういうことになるのだろうか。
多くの期待と課題を抱えながら、産業再生機構はまもなく誕生しようとしている。
産業再生機構の陰にかくれ目立たなくなった金融再生プログラムではあるが、資産査定厳格化を打ち出したことで、銀行へのプレッシャは十分発揮しているようだ。
大手銀行は、新しい不良債権処理策を打ち出し、その結果、不足してくる自己資本に備えて、いろんな形で増資を始めた。
Mフィナンシヤルグルプの持ち株会社・Mホルディングスは二OO二年十二月五日に、不良債権を集中して管理・処理する新会社を設立することなどを柱としたグルプの事業再編策を発表した。
その新会社には、M銀行・Mコポレト銀行・Mアセット信託銀行から、要管理先や破綻懸念先に区分されている債権、簿価で最大五兆円分が集められる。
一括して管理してもグルプ内から不良債権が減るわけではないが、売却などの早期処理がしやすい利点はある。
「対象債権者全員の同意により、再建計画成立」などとなっている。
文言は似ている。
日本の私的整理ガイドラインは、主要債権者というとき、大口債権者の中でも最大の債権者、つまりメインパンクを意識している。
NSOも同じではと思うかもしれないが、NSO方式だと、どの大口債権者が会議の司会をやってもほぼ同じ結論になる。
利回りアップのためには債権を安く売ったほうがよいが、不良債権売却に伴う白行の損失を少なくするには高く売りたい。
そうではないか、と安東氏に訊いたところ、回答は「そうではなくて、銀行はやはり高く売りたい。
自分だけ安く売っても利回りが自分だけに返ってくるわけではない。
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